
◇作品の内容◇ 「BOOK」データベースより
第一巻
墨田区・大川公園で若い女性の右腕とハンドバッグが発見された。やがてバッグの持主は、三ヵ月前に失踪した古川鞠子と判明するが、「犯人」は「右腕は鞠子のものじゃない」という電話をテレビ局にかけたうえ、鞠子の祖父・有馬義男にも接触をはかった。ほどなく鞠子は白骨死体となって見つかった―。未曾有の連続誘拐殺人事件を重層的に描いた現代ミステリの金字塔、いよいよ開幕。
第二巻
鞠子の遺体が発見されたのは、「犯人」がHBSテレビに通報したからだった。自らの犯行を誇るような異常な手口に、日本国中は騒然とする。墨東署では合同特捜本部を設置し、前科者リストを洗っていた。一方、ルポライターの前畑滋子は、右腕の第一発見者であり、家族を惨殺された過去を負う高校生・塚田真一を追い掛けはじめた―。事件は周囲の者たちを巻込みながら暗転していく。
第三巻
群馬県の山道から練馬ナンバーの車が転落炎上。二人の若い男が死亡し、トランクから変死体が見つかった。死亡したのは、栗橋浩美と高井和明。二人は幼なじみだった。この若者たちが真犯人なのか、全国の注目が集まった。家宅捜索の結果、栗橋の部屋から右腕の欠けた遺骨が発見され、臨時ニュースは「容疑者判明」を伝えた―。だが、本当に「犯人」はこの二人で、事件は終結したのだろうか。
第四巻
特捜本部は栗橋・高井を犯人と認める記者会見を開き、前畑滋子は事件のルポを雑誌に連載しはじめた。今や最大の焦点は、二人が女性たちを拉致監禁し殺害したアジトの発見にあった。そんな折、高井の妹・由美子は滋子に会って、「兄さんは無実です」と訴えた。さらに、二人の同級生・網川浩一がマスコミに登場、由美子の後見人として注目を集めた―。終結したはずの事件が、再び動き出す。
第五巻
真犯人Xは生きている―。網川は、高井は栗橋の共犯者ではなく、むしろ巻き込まれた被害者だと主張して、「栗橋主犯・高井従犯」説に拠る滋子に反論し、一躍マスコミの寵児となった。由美子はそんな網川に精神的に依存し、兄の無実を信じ共闘していたが、その希望が潰えた時、身を投げた―。真犯人は一体誰なのか?あらゆる邪悪な欲望を映し出した犯罪劇、深い余韻を残して遂に閉幕。
◇作品のレビュー◇
宮部みゆきさんの対策ということで、期待して読みました。
内容は、過去に家族を失った青年が新たに殺人事件に巻き込まれるという、せつないものです。
過去の事件に引きずられながら、新しい事件の殺人事件に立ち向かう。
しかも、作品中盤で犯人も登場し、犯人の視点からの物語も展開されていきます。その点では、犯人当てのようなミステリーの醍醐味はないのですが、この悪質きわまりない犯人を、どういったプロセスを得て逮捕するのか、その点に興味を惹かれ、引きづりこまれるように読みすすめていきました。
完全犯罪を行う殺人者、その相棒、証拠もない、警察をあざ笑うかのようにトリックを仕掛ける。
さらに警察、報道記者、犯人の幼馴染、被害者の家族、過去の事件の加害者の娘、などたくさんの人物が登場し、さまさざな人生が重なり、物語はいろいろな視点から進んでいきます。
犯罪というものが、加害者だけでなく、さまざまな人の人生に波紋を広げていく、なんとも言えない、深い作品だと思いました。



